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ヤクの毛刈り祭り --yak shaving festival--

猿でも組み立てられるキーボードを目指して(もしくは目撃した組み立て失敗について)

この記事は「キーボード #3 Advent Calendar 2021」の19日目の記事です。昨日は IKeJIさんの「変則マトリクスのQMKのハマリ所」でした!

 

初めて自作キーボードを作る人を多くみてきて、そして結構な数の「失敗」を見てきました。最近自作キーボード初心者の友人に向けてキーボード(Hatsukey69)を作ったのですが、設計するにあたり目撃してきた「失敗」が起きにくいように、特に間違いの多いポイントを潰すように設計してみました。「間違えない」「迷いにくい」ようにしたことをまとめておきます。設計は初心者なので参考にはならないかも知れませんが、「そういう失敗する人がいるんだな」という事例の参考にはなるかも。

最初に、自分の基本的な考え方

キット製作者からすると組み立ての間違いについて「組み立て説明(ページ・動画)よく見ろよ!!!!!書いてあるだろ!!!」と言いたくなると思うんですが、一言一句読み飛ばさないでしっかり組み立て説明を読みながら組み立てる人間、現在の初めてキーボード作る人間においては少数派ではと感じています。なのでしっかり組み立て説明書くのはもちろんいいことなんですが、組み立て説明斜め読み(斜め見)でも作れるように、なんなら説明書見ないでも組み立てられるように設計したほうがいいなと思っています。特に初心者向けのものは。

(半実装済みとかソケットまで実装してしまって組み立てるだけとかにするのが一番初心者向けなのでそうしろという話はある)

 

間違えにくくするたのあれこれ(設計編)

選択の余地を残さない、共用しない

迷わせないためには選択肢を与えないことだとマックの女子高生も言っていた。初めての人は選択肢を与えなくても迷うのだし、正しい手順でやっていても不安になる。というわけで「どちらでもすきなようにしてくれ」みたいな要素はなくした。スイッチの対応はKailhChocV1のみにし他のフットプリントはないし、オプションでLEDつけられるとかそういうのもなくした。混乱を起こしやすいリバーシブル基板にはしていない(そもそもそういうレイアウトではないが)。リバーシブル基板がために部品の位置を間違えて動かんとか

 

ProMicroを表向きにする

ProMicroを裏返した形(部品面がピンヘッダ側)で使うキットがある、というかむしろそちらの方が多い。高さを抑えられるとかの利点があるが、しかし人類はどうも本能的にProMicroは表向き(部品なし面がピンヘッダ側)につけてしまうようにできているらしい。裏表を間違える初心者を何人見たか。それどころか両手の指よりキーボード組み立ててる人間も間違えていた。というわけでProMicroは表向きにした。

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コンスルーのはんだ付けをしにくくする

せっかくコンスルーで後から外せるようにできるのに、それをはんだ付けしてしまう事故がある。知っている人からすると「なぜ。。。」という感じかもしれんがはんだ付けさえ初めてという場合むしろ「はんだ付けしなければ!!!!」と思い込んでいるので勢いのままはんだ付けしてしまうのだ。まぁ動くのでクリティカルではないが、これと他の間違いが重なると悲劇だ。コンスルーのはんだ除去は厳しい。というわけでコンスルー側はスイッチと干渉する位置にすることではんだ付けしにくくした。完全にできないわけではないが、かなりやりにくいので「あれ?」となって組み立て説明を確認しにいってくれることを期待している。今回は無理だったが、見えない部分ならシルクで注意書きを入れてもよい。

シルクを見りゃわかるように

基板の裏表というか部品をつける面を間違えるのもけっこうありがちだ。悲しい例では右手を2つ分組み立てていたとかがある。だいたい基板の裏表と、部品をどっちの面につけるかが明示されてない(わかりにくい)がために起きる。というわけで「右手の裏側ですよ」「左手の裏側ですよ」というのをでかでかと書いた。注意事項は組み立て説明書だけじゃなく基板に書いておく。また、部品のシルクは(推奨)取り付け側だけにしか描かない。なくてもいいものはない方がいい。

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それに、シルクを電子回路的な記号ではなく、見たままのイラスト風にした。電子回路記号は知っている人にはわかりやすいが、電子工作をやらない人間には見たままに近い方がわかるやろ、という考えだ。

 

↓スイッチのシルク

 

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ダイオードのシルク

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トッププレートをなくした

トッププレート(スイッチプレート)を入れ忘れ、穴がたくさん空いた板が最後にポツンと残されている光景も何度か目撃した。スイッチのはんだ付けを全て除去してやり直さねばそのパーツを使えないとわかった時の人間の絶望の顔よ...。というわけでHatsukey69はトッププレートをなくした。Chocスイッチでぐらつきもさほどないし。トッププレートありでもソケット式ならダメージは小さい。

 

左右非対称にする

プラモデルなどで右手と左手を間違えないよう継手の形が違うのを見て感動したことがある。右手と左手で部品の形が一緒だと取り付け向きを一意に定められない(例えそれで問題がない場合でも迷いを生む)。ので、チルトの板の長さやスペーサー穴を左右非対称にしてその向きでないとはまらないようにした。

 

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はんだづけは多いけど難易度的にはMeishiキーボードくらいの練習用入門機になったかなと。

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設計編の他にビルドガイド編とかキット組み編とかも書こうと思ってたんですが時間切れ&力尽きました。

明日は knottank さんの「dvorak配列のなにかに関して好き勝手に書く」です!