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ヤクの毛刈り祭り --yak shaving festival--

Mac派用自作キーボードを作った話とSU120いいぞ

キーボードを作った。キットのキーボードは組み立てたことはあったが、そうではなく形から自分で決めたキーボードだ。

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Magic keyboardを分割した形をベースにしている

コンセプトは「アップル教のなかなか自作キーボードに踏み出してくれない友人を沼にいざなうキーボード」。自作キーボードの入り口的キーボードですね。

・キーの配置はほぼMacのキーボード

・分割で肩が楽を実感してもらう

・親指だけエルゴチックでエルゴノミックキーボードへのハードルを下げる

・通常位置のEnterやBSもありつつ親指位置にも配置し親指周辺の便利さを味わってもらう

貧乏お安い構成(ミドルプレート・ボトムプレートなし)※試作では剛性が足りないのでプレートは追加するかも

・ちょっとチルトでパームレストなしでもOK

・Chocスイッチにも対応(薄いのが好きなんでしょ?)

 

既にありそうなんだけどそのものズバリを売っているのは見つからなかったので自作。自作キーボード始めた頃にこんなキーボードがほしいなと思っていたのを並べた形だ。

 

やろうと思った要因は色々あって、もっと自由にレイアウトいじれるプレートモジュールを作りたいからSU120触っときたい、とか、キーボード設計一個くらいやっとかねばとか、キーボード設計の現在時点のまとまった情報がないので同人誌書きたいな、とかまぁいろいろぐちゃぐちゃあって、そこに友人に「こういうの作ろうかと思ってる」って話したら「それいい、使ってみたい」って言われたことでやる気が爆発してぼちぼちいい勢いで作った。

 

いきなり基板引くのあまり良いと思っていないので(慣れている人間はいいんだけど)キーボード用基板SU120を利用。ばらばらにした部分をリード線等で配線し直すことで自分の好きなレイアウトのキーボードを基板設計無しで作成することが可能なもの(以降便宜的に試作基板と呼びます)。TALP Keyboardさんで買いました。どういう手順で作ったかとかは改めてちゃんと書こうと思うので置いておいて、SU120いいぞという話を少し。

試作基板はいいぞ

はじめから基板を設計して発注すれば試作基板を利用しなくてもキーボードは作れる。特に最終的には基板を発注して完成度の高いものを作りたい、という人にとっては試作基板を使ったキーボードづくりは余計な工程に感じるかもしれない。が、はじめて自作キーボードを設計しようというのであれば個人的には試作基板の利用をおすすめしたい。*1

 

1.考え抜いたレイアウトでも実際使ってみると変更したい部分が出てくる

完璧なレイアウトを考えた、モックでもシミュレートした、このレイアウトは完璧だ、と思っても実際しばらく使ってみると「やっぱりここはこうしたい」という部分はでてくる。はじめてならほぼ100%だ。ものづくりはそういうもん。その際に試作基板であればその場で修正することができ、いざ発注するときには実際に使えたレイアウトで依頼でき、使える基板が届く。ゴミ基板に手間とお金と日数をかけるリスクを減らせる。

 

2.手を動かして理解できる

回路設計から始める場合でも、丁寧に書かれた解説がいろいろなところにある。丁寧だ、が、頭がついていけるとは限らない。キーボードのマトリクス回路についてやKiCADの操作、自作したときのファームウェアについてなど、同時にたくさんの新しい知識を吸収しないといけないため「ギブアップ!」となる人もけっこういると思う(何人か見た)。その点、試作基板を使うと手を動かしながらキーマトリックス回路についてなんとなく理解でき、オリジナルのファームウェアについてもなんとなく学べる。次に回路設計して基板を発注したいとなった時に下地ができているのでいきなりやるよりスムーズに学習できる。

 

3.スピード感が出せる

基板を発注するとはやくとも数日、場合によっては数週間届くまでにかかる。試作基板ははやければ1日で形になって動くものができるのでモチベーションが上がる(維持しやすい)。試「自分のオリジナルキーボードを作りたい!」という気持ちが高まった、その勢いのまま完成に持っていきやすい。日数というのは意外と重要でモチベーションの下降にダイレクトに影響を与える。また、当然だが改良サイクルを早く回すことができる。

SU120はいいぞ

ここまでは試作基板全般の話(このタイプのキーボード用基板はいろいろな種類があります)。今回SU120ははじめて使ってみたんですがよかったので良かった点、あともうちょっとこうだともっとうれしいかもな、という点を挙げておきます。

 

1.プレートなしで形にできる

基板をバラバラにするとなにかしらで固定しないといけなくて大体プレートで固定する。アクリルのレーザーカットや3Dプリンタで作る例が多く、一手間かかる。が、SU120は基板同士を接続するビスケットパーツがあるためプレートなしで固定できる。これは便利。また、ネジ止めなのでやっぱちょっと変更したいとなったときにも変更しやすい。

 

2.ProMicro用の基板や2U用の基板がついてくる

ProMicro、TRRSジャック、リセットスイッチなどの部品をつける基板も1つになっているので別途購入する必要がない。また、2U用のスタビライザーがはまるパーツやロータリーエンコーダー用のパーツがあるのもうれしい(今回は使わなかったけど)。

 

3.説明がわかりやすい

これは地味に重要だと思っている。組み立て説明ページがわかりやすいのはもちろん、ProMicro基板の番地がcolとrawで1〜とA〜とかかれていたり、基板自体に裏面をジャンパするように書かれていたりと気遣いを感じる。

 

4.デフォルトファームウェアがRemap対応している

はじめて作る場合ファームウェアどうしたらいいのかわからんってあると思うのだが、VIA、Remapに対応しているのでなにもわからなくてもキーマップの設定ができてしまう。

 

番外.作者が対応が早い&やさしい

優しくしろーとか早く対応しろとか要求するつもりは全然ないのでそうのを期待するのは良くないと思いますが。こういう報告をしたら即座に確認&修正されて誠実だなと思いました。

 

 その後もうまく動かない時(自分のミスでした)に相談に乗ってくれたりしてやさしい。

 

あとこうなってくれるとよりうれしいなと思ったところをメモ書きしておきます。

  • 0.5Uずれ基板バージョンがあるとうれしい
  • ちょっと高くなってもいいので5×5ではなく6×5にしてくれると60%相当の分割キーボード作るときに手配線が少なくなるのでうれしい

あとはねじどめが結構面倒臭い&ネジが手に入りにくい&ナットが外れたりするのがちょっと大変でしたがその辺は狭ピッチ版のte96では解消されているようなのでte96も試してみたいです。

 

まぁあれです、SU120でキーボードつくるのめっちゃ楽しかったのでおすすめです!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

*1:この辺はFabacademyの高速ものづくり授業を受けたことがだいぶ影響している気がする