willist

ヤクの毛刈り祭り --yak shaving festival--

シロナガスクジラスイム記@スリランカ7日目

最終日に泊まるホテルはおそらくスリランカで一番有名なホテルなのではないだろうか。バワという建築家が唯一内陸に建てたという、自然の岩と一体化した建物。そこで一晩ゆっくり過ごし、明日空港から日本に帰る。

お世話になったLotusParkHotelを出て、ホテルに行く途中にシーギリアロックに寄る。昔々、父親を殺しその地位を得た国王が、弟に地位を略奪されることを恐れて高い高い岩の上に宮殿を設けた場所。スリランカの二大観光地の一つだ。ひたすらにレンガで積まれた階段を上がる。岩を上がっていく部分は金属の階段が頼りない感じで岩にへばりついている。ちょっと恐ろしい。途中で引き返す人もいる。こんなところに宮殿があれば、確かに攻めにくそうだが、食料などは下から運んできていたのだろうか。きっと命を落とした人もいるんだろうなぁなどと思う。頂上に登ると昔宮殿だったのであろう、レンガの名残が広がっている。360度、スリランカの緑と広がる湿地を一望する。

敷地内の広場には、社会化見学だろうか、白い制服を着たスリランカの子供達が沢山いる。コーヒー色の肌に白い服が映える。地元の人だろうか、裸足に美しいサリーを着た老婆がにこやかに歩いている。膝は運動不足でふらつき、体は汗だくだったけれども、爽やかな気分になった。

f:id:interestor:20150402234620j:plain

そこからまた車で移動する。運転手さんがなんども車を止めては、道にいる子供やすれ違う車、近くの店の人に、ヘリタンスへはどっちだ?と聞いている(様子な)のが面白かった。すれ違うクルマが停まってくれるのが親切だなと思う。一時間ほど走ると、お待ちかねのホテルだ。保護区の中にあるらしく、ゲートをくぐってからさらに10分ほど走る。緑色のと黒の四角っぽい印象の建物が見える。植物が垂れ下がって、緑に覆われている。着くとホテルの女性が出迎えてくれ、スリランカの国の花、蓮を渡してくれる。エントランスを抜ける廊下の片面は自然の岩そのものだ。ウェルカムドリンクを飲んでゆっくりしながら手続きをすませると、簡単な建物の案内を聞きながら部屋へ。ホテルは大きな岩(小さな山?)を取り囲むように弧を描いた形になっている。真ん中にレストランやラウンジ、バースペースがあり、端に向かう辺が客室になっている。片方の端から片方の端までは約1km。プールは三つ。一つのプールは自然の石を利用したものだ。天井が高い。

f:id:interestor:20150402233651j:plain

部屋も美しい。黒と木の茶色を基調にしたシックな作り。こんな部屋に住んでみたいなと思う、写真集の中にそのまま載っていそうな感じ。バスタブの向こうは一面ガラス張りだ。湖が見下ろせる。一瞬「丸見えじゃん!」と思うが、あちらから見える距離に人などいないのだ。部屋も同様。テラスの一面のガラス窓の前に真っ裸で立っても誰も見ない。部屋が気に入ったので、基本的に部屋にこもることにする。おそらく他の旅行者が置いていったのであろう日本語の小説が書庫にあった。扉。バスタブに浸かりながらひたすら読む。そのまま真っ裸で広いベットに寝っ転がりながら、ひたすら読む。

昼ごはんのビュッフェが美味しくたくさん食べてしまったので、晩御飯はテラスで軽くとることにする。ワインを飲む。同行者はソフトドリンクを飲んでいたのだが、そのうちに持ち込みのお菓子と日本酒を広げ始めた。持ち込みとか普通なら怒られるだろうに、ある若いボーイさんが、他のボーイさんに「オレはしらねーぞ!」と言われながらも氷を入れてくれたりして優しい。周囲に対して恥ずかしい気持ちになりながらさらに止めるとは言わないまでもその輪から抜け出すことができなかった自分を恥じる気持ちになる。やってくにはそのくらい気にしないでやる図太い心持ちの方がいいのだとも思いつつ、どうにも恥ずかしい。

どうにも落ち着いた気分になれず、結局2時くらいまで小説の続きを読んですごした。