ニュージーランドとトンガに行っていた時、
iPodの中の、10曲ぐらいをひたすら聞いていた。1人だし、言葉もわからないので、イヤホンで音楽を聞きながらただ歩き回っていた。本当に同じ曲ばかり聞いていたので、東京でも愛知でも、その曲を聞くとニュージーランドの冷たい空気と、トンガの船着場と、止まっていたコテージの
リノリウムの床を思い出す。
そして横断歩道の黒いコートの群れのなかで、トンガの海で泳ぐ鯨の、ぼつぼつとした突起のあるだけども滑らかな肌の黒さを思い出そうとする。
今も鯨たちは海を泳ぎ、アラスカでは熊たちが歩き、サバンナでは縞馬たちが草を食み、極楽鳥は悠然と歩いている。そんな想像をする。
少し顔をあげて歩幅を大きく歩く。